2011年7月10日日曜日

6次産業化(雑感)

経済の第3次産業化(あるいはかサービス経済化、ストック経済化)がいわれて久しいが、農業の6次産業化が流行りのようだ。もともと今村奈良臣(農業経済では有名な人)先生が提唱したもののようだ。
 しかし、3次産業化の3との関係から考えると、どうなんだろ。

 一部の論者は、栽培から出荷までの労働にさらに加工、販売(小売)まで加えるのかという批判もある。場合によっては組織化された法人やある程度の頭数の揃った組織化された農家以外を排除する可能性もある。そういう意味では農業の担い手像を明確化することが本来は先なんだろうな、という気がする。
それと今村先生には悪いが、これは垂直的統合の1形態ではないか?
 畜産部門では、欧米の影響をうけてインテグレーションが流行ったし、だからこそ食品産業化できたという考えもある。

 垂直的統合(Vertical Integration)はパシネッティや尾崎巌により説明されている。実証分析の点からいえば尾崎の単位構造系(Unit Structure)がそのVisual化である。ただ、垂直的統合はマルクス派の人に言わせれば独占と結びつくので使いたくないのかな?なるほど、今村先生が農業の垂直的統合を奨めるって、笑い話か?でも6次産業化といえば、山田盛太郎ばりの衒学的造語による学問遊戯だ。
1.5次産業とか農商工連携とか結局、農業は排除されてきた。6次産業はどうなのか?日本のマルクス経済学は小農に肩を持つ輩が多い。

経済から農学に転身した私は博士課程のころ九大の甲斐先生に質問したことがある。
「なぜ、農学分野では都道府県レベルの試験場単位で線形計画法が主流といっていいほど使用されているのに、農家に対する農業経営分野になると、大学ですら教えることを無視しているようにみえるが?」
甲斐先生は「畜産部門のように大農では、この種の経営ツールは利用されている。しかし、早朝から1日中働いている農家に、そこまで要求できるのか?」
と返してきた。

思うに、今でも大学では農村調査の授業で農家の仕事の邪魔をしているのだろうか?
どうせなら、農家経営の財務やLPで経営計画の手助けをしたり、このさい援農したほうがいい。でも、断言できる。絶対にそうはならない。それが地方の日本の農学、農学部の農業経営・経済学の伝統なんだろうな。

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