【【【 演習用例解 】】】
1.テーマ設定
昨年の選挙で仲井間知事は失業率の全国水準への改善を公約にあげた。
ここでは昨年時点での失業率の2年分の予測をし、沖縄と全国を比較する。
2.資料収集
沖縄と全国の失業率を比べるため、沖縄県統計課と政府統計ポータルサイトからデータを引き出 す。
3.データ作成
失業率のデータをExcelで整形し、Rで読み込めるようにした。
4.データ解析
Rにより時系列解析の手順より、自己相関関数、偏自己相関関数、ピリオド不ラム、パワースペクト ル(AR法:Burg法)の結果より予測モデルを決定する。ここではARIMA(p、d、q)の各次数の決定 をして24期(2年)分の予測系列を作成する。
5.結果の解釈
以下の図は沖縄と全国の失業率の推移である。左は両方を同時にプロットし、右は分割し、横軸に年号をとったものである。
自己相関関数
自己相関関数は両者ともになだらかに減少しており、トレンドの存在が確認できるが、沖縄は14期までなのに対し、全国はそれ以降も継続しており、より強いトレンドの存在が推察される。
偏自己相関関数
沖縄は1次のトレンドが検出され、全国はそれに加えて13期程度の循環変動の存在が推察される。
ピリオド不ラム
無処理のピリオド不ラムと平滑化処理をほどこしたピリオド不ラムを示す。沖縄はトレンド成分のみが突出しているが、全国はトレンドと循環変動が確認できる。
ARIMA(p、d、q)
AR、MA及び階差ともに1次のARIMAモデルによる予測である。沖縄・全国ともに平均レベルの推移となっている。信頼限界も幅があり、適切なモデルとはいえない。
モデルの再検討
前段の結果より、1次の階差系列で再度、計算しなおす。
自己相関関数
両者ともに強い1次のトレンドと、沖縄は10期、全国は4期、5期でマイナス、7期、13期にプラスの反応がある。
偏自己相関関数
沖縄は2期、6期、9期とさらに高次の部分にもマイナスの反応がある。全国は3,4期にマイナス、12期に大きくプラスの反応がある。
パワースペクトル
パワースペクトルはMEMを用いた。上段が原系列、下段が階差系列である。
原系列は沖縄が強い1階のトレンド、全国は強いトレンドと循環変動がある。
階差系列は沖縄はトレンドは消え、定常的と思われ、全国はやや循環変動が残っているものと思われる。
ARIMA(p、d、q)
予測は沖縄は信頼限界の幅が広く、問題が残るが上下に変動しつつ、現状のレベルのまま推移することが予測される。
全国は比較的良好で変動しながら減少していくことが予測される。
現状のままでは沖縄の失業率は改善されず、全国は低下していくことが予測されることから格差は広がることが予想される。よって県の経済及び社会政策として、失業対策はより重点的に行う必要があることが示され、現行のままではさらに悪化することが予測される。
あくまで参考なので、モデルの改善点としては、データ数の割りにARIMAモデルの次数が高すぎるので、さらに過去にさかのぼるなどして、情報量を増やす必要がある。さらに他の要因も加味しVARの採用も考える必要がある。変動要因もスペクトル分析を詳細に行い、トレンド成分の分離を試みる必要がある。
6. 結果の公開
作成したドキュメントはこのWeb(blog)とここにPPTで作成したものをここに置いている。
7.公開
以上の結果により終了
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